先日、救心製薬のCMのイラストを描きました。「伝統篇」という15秒もので使われています。内容は、聖徳太子一行の「鹿茸猟」や推古天皇一行の「薬狩」の様子を、ひとまとめの情景図にするというものでした。
製作に際しては、デザイン、撮影、時代考証、クライアント各々別個のチェックが入るとのこと。おまけに製作期間も非常にタイト。これは大変なことになるなと直感しました。
各々のセクションの思惑というものがありますから、途中までOKで進行したものが、大幅改修ないし振り出しまでもどるということが度々おこりました。
各々の立場では、次の思惑や全体の流れを見据えた上での要求をするわけではありませんから、無駄となってしまう作業に多くの時間が費やされます。しかし、そういう要求をクリアしないことには、完成品の商品とはなりません。
仕事によっては、最初の打合せの後、後はお任せという感じで、リテイクを食らうこともない場合がほとんどですが、CMや教科書の仕事などはOKが出るまで二転三転し、ひたすら遠い道のりとなることがあります。
運良く楽に描けるものもあれば、困難の山と格闘し続けざるを得ないものもあります。そういうものをひっくるめて仕事なんだなと思います。
この絵は、昔らしい古拙な雰囲気が要求されました。構図は、カメラワークの都合やピックアップすべき要素が優先されました。1枚の絵として見れば、見栄えの良いものではないかもしれませんが、とことん狙いに合わせて描いていったものです。
要求された画面サイズが大きく、ペインターで作業している時は270MBにもなり、現有のパソコンで作業するには限界を感じる程、ひとつひとつの操作に困難がつきまといました。
苦労ばかり多い仕事でしたが、大いに勉強になりました。この後の他の仕事をペインターで描くのが、とても容易になりました。
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その後、テレビで流れているのを観ました。
カメラが、じっくりと絵を映してくれて、嬉しかったです。
出来上がったCMというものは、自分の手を離れ、様々な役割の人々の手の総合力で作られた完成商品だなぁと、つくづく感心させられました。
(2005.6.24追記)
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