異名、類縁・・・「しっけんけん」長野諏訪地方/「雪姉さ」新潟/「雪おんば」長野伊那地方/「雪女郎」新潟、山形/「雪ばじょ」宮崎、鹿児島/「雪ばんば」宮城/「雪んば」愛媛宇和地方/「雪んぼ」和歌山...
真雪のように透き通った白い肌と白い髪の美しい女の妖(あやかし)。 雪女に出会うことにより生ずる災厄は、地方の語り伝え毎に様々。 精を抜かれて殺される。(岩手、宮城) 人をさらう。子供は肝を抜き取られる。(新潟) 雪女が声をかけるのを無視すると谷底に突き落とされる。(茨城) 赤ん坊を抱けと請い、これに応じると赤ん坊は天を突くほどに大きくなる。断んだ人は殺される。(青森津軽地方)子供を抱けと請い、適わなかった人間を滅ぼし、抱き遂せた者には恵みを与えるという性格は「姑獲鳥/産女(ウブメ)」的であり、巨大化する赤ん坊という点では「見越し入道」的でもある。 また、1本足の「山精」に通ずるイメージの「雪ん坊」も近縁かもしれない。 小泉八雲が採集して描いた『雪女』の物語は哀しくも美しい。 雪女と出会った事をしゃべってしまった結果、主人公が妻となった雪女と暮らせなくなるという筋立ては、日本の昔話に多く見かける異類婚姻譚と同型である。 雪女は、日本人の自然観や心の中の闇と非常に響き合う妖なのかもしれない。 私が幼い頃は、冬が今より厳しく、三浦の里でも激しく吹雪く夜が多かった。 ビョウビョウとうなり、視界を覆い尽くす吹雪には、自分が現実から引き離され、魔の世界に捕われてしまうような恐怖を感じたものだ。 そういう時、雪女が本当に怖かった。 |
このサイトの著作者は、たま、/児玉智則です。
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