雑記.42-1




お絵描き備忘録(その1)

線画から基本色を置くまで

仕事の合間合間に、ちょこちょこと長い期間をかけて、スピットファイアMk.Vという飛行機を描いてみました。
普段、仕事の細密な絵を描く方法で進め、後の参考というか、作業法を忘れた時のための備忘録として、途中段階の絵を記録し、その段階ごとの勘所も合わせて残しておこうと思います。
仕事としては、一定以上のレベルを保ちつつ量産が出来て、描き損じの無い描き方をモノにしていれば便利です。
猿でも描ける、絵心が無くても描ける、そんなルーチンな行程に沿って進めることが出来れば、やり易い...
そういう必要に応じて組み上げた描き方で、このスピットファイアを作成していこうと思います。
絵を描くというよりは工作に近い描き方かもしれません。
見ようによっては、まだるっこしかったり、絵らしい絵を描くのとは違うなぁと感じるかもしれません。
求める絵も描き方のアプローチも人様々ですが、あるいは、何かのヒントにもなるかもしれません...

スピットファイアMk.V
まずは、Illustrator CS4(イラレ)で線入れ。先にパースを取り、大雑把な下絵を描き、その上から、線を入れていきます。

スピットファイアMk.V どの段階でも、三面図や参考に集めた複数の写真とにらめっこしながら作画します。見易いように線は赤色ですが、後で本番用の色に変換します。

スピットファイアMk.V
線入れは、概ね終了。 次は、線の色と太さをそれぞれに応じて変え、 それから、ちょっと面倒くさいマーキング。
それが終わったら、イラレからPhotoshop CS4(フォトショ)に作業の場を移します。

スピットファイアMk.V
インシグニアなどのマーキング作業は終了。 ようやく、イラレからフォトショに作業の場を移せます。
レイヤは、上層から「寸法」「ペラ/無線」「部品」「風防」「細い線」「描画」「輪郭」「マーキング」「下絵」
「下絵」以外の全てのレイヤをフォトショで作成するフォルダに移植します。
このような順序にレイヤ分けしておくと、作業の進行、変更、修正、微調整などが容易になります。
描く作業を勘(絵心)に頼らず、着実に進めることが出来、そして精神的な負担が減ります。

絵心に頼らないなんて、ひどい絵描きですが、私はそれで良いと思っています。
人間は何かを感じ、ものを考え続ける生き物ですから、絵心なんて放っといても動き出します。
ただ、描き始めから仕上げまで、絵心だけに頼って描くなんてのは、難儀なことです。
迷走したり挫折することも多くなるでしょう。描き上がったとしても、必ずしも自分の観たかった絵に仕上がるとも限りません。
ルーチンな段取りで9割くらいまで形をこしらえ、やるべき事が見えたところで、残りの1割くらいに絵心を注ぎ込んだり調整したりして、望んでいたものに近づければ良いと思っています。
戦車をギリギリ前線の近くまで貨車などで運び、自力走行はちょっとだけにするのと似たような感じです。
戦車を後方から遠い戦地まで自走させていたら、中の人は疲れちゃう。燃費も悪いし、戦車もガタがきちゃうことでしょう。

スピットファイアMk.V
イラレからフォトショに作業の場を移しました。
基本色をバケツ塗り。これは後の作業で選択範囲として使い易いよう、1レイヤに一色だけ。他の固有色は別レイヤで。
絵全体の調子を見るため、背景を入れてみます。選択範囲で分けて3色をバケツ塗りで色置き。

この単純な色分けの段階は、構図の調整にとても都合が良いです。
背景は陸と海なのですが、参考にした画像などとカタチが変わっても構いません。
「自分が観たかった絵」が、既成の実写画像をまんま引き写しただけ、というモノなら問題ですが、今回の私の絵の場合、背景は脇役です。資料にとらわれる必要はありません。
構図や主役(今回は飛行機)との兼ね合いで、背景なんて、どう変えてもかまいません。
あるいは、ピンと来る構図を求めて、飛行機の位置や角度を、レイヤリンクして、ああでもないこうでもないと微調整するのも良いです。
ルーチンに組んだ構成を利用して、気楽に絵心を発揮しましょう。

スピットファイアMk.V
固有色と迷彩を塗り... ペラにボカしを入れてみました。
陰影無し、大きい色面で分かれているだけのこの状態、なんだかポスターっぽくて、こういうフィニッシュもありかなと、頭の中に蓄積しつつ、描き進めます。

次は、機体の明暗。
選択範囲として「輪郭」レイヤが役に立ちます。 「サルでも描ける」段取りの最たるものでしょう。

後半に続きます→雑記.42-2:お絵描き備忘録(その2)へ

2011.4.25作成



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