全長:12m 全幅:11.5m 主翼面積:19.8平方m 全備重量約5,900kg 発動機:Junkers Jumo 004Dターボジェットエンジン1,070kgf×2 最大速度:975km、航続距離:約1040km(増槽付きで最大1,600km)、 実用上昇限度:12,500m、上昇率:1,200m/分 武装:30mmMK108機関砲×4(装弾数340発)、R4Mロケット弾×24、 ルールシュタール X-4 空対空ミサイル×4または爆弾500kg 乗員:1名 1945年、初秋の北ドイツ上空に、スズメガのようなジェット機の編隊が慌ただしく飛び上がって行った。 ・・・最新鋭機だというのに、木やら何やらで組んだ翼。 注ぎ込む燃料は石炭のしぼり汁だ。 型の旧い敵の機体にくらべて、何ともお粗末な… それでも、戦える... 我が民族は頑張り過ぎだと思う。 とうの昔に勝負のついた戦いが、まだ続いている… 「敵機!」 「Sieger(了解)…」 第二次大戦末のドイツのジェット戦闘機。 愛称は「Sperber/シュペアバー(ハイタカ)」 。 Ta289Aは、先行して活躍したMe262に次ぐ第二世代のジェット戦闘機として、自社のTa183の設計を利用しつつ、非常な速さで開発された。 Ta183は、Me262に搭載された実績のあるJumo004Bの次世代のハインケル・ヒルトHeS 011を1基搭載したが、初期のジェットの難しさでMe262の運用において片発が停止して辛うじて逃げ帰ることなどが度々あったことから、Ta289では生存性を高めるため、新型のHeS 011を1基よりは、使用実績のあるJumo004Bを2基搭載する手堅い選択となった。 Jumo004Bを搭載した試作機が45年の7月に完成し初飛行。8機完成したところで、扱いやすく推力も増した改良型のJumo004Dが本格的な生産に移行したので、生産型のA型は、いくらか設計を変更してJumo004Dに切り替え、量産が開始された。 諸資源の乏しい現状に対応し、機体は木材や鋼材を多用した。木製の翼リブは上下のカンバーが同じ対称形で、主翼は内翼から外翼まで同一断面にして生産性を高め、左右の翼材には互換性があった。 尾翼及び主翼外翼の外皮は合板張り。 本機と同様に強い後退角をもったTa183は、大仰角時に失速に陥りやすかったので、Ta289では、主翼前縁にスラットを設け対応した。
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